Caseに学ぶ 一般外科医のための血管外科応用手技・4
急性腸間膜動脈閉塞症に対する緊急手術
加藤 紘之
1
,
熱田 友義
2
,
伊藤 紀之
2
,
高橋 透
3
,
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第2外科
2旭川市立病院外科
3苫小牧王子総合病院外科
pp.1567-1571
発行日 1987年9月20日
Published Date 1987/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407209830
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
はじめに
心疾患あるいは動脈硬化性病変に起因する腸管障害があらたな治療対象として注目されつつある.特に急性腸間膜動脈閉塞症の治療にあたつては消化器外科医と血管外科医の密接な協力あるいは両分野にわたる知識,技術の習得が必要であり,これからの外科学のあり方を示唆する治療分野でもある.心疾患を基礎疾患とする症例では塞栓閉塞が予想され腸管の部分虚血にとどまる場合が多い.一方高齢者の動脈硬化性病変を基礎疾患とする症例では血栓閉塞が予想され広範な腸管壊死を起こすことが多い.いずれも症状の発現が突発的で経過も早く急性腹症として扱われるが,開腹時にはすでにショック,腎不全など多臓器障害に陥つている症例も少なくはない.著者らの経験した25例中入院死亡は18例,72%と高く,この疾患に対する認識をさらに高めて,救命率の向上につとめる必要に迫られている.
Copyright © 1987, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.