Japanese
English
特集 腹部緊急疾患におけるDo's & Don'ts
腸間膜血管閉塞症
Do's and don'ts in mesenteric vascular occlusion
土屋 周二
1
,
福島 恒男
1
Shuji TSUCHIYA
1
,
Tsuneo FUKUSHIMA
1
1横浜市立大学医学部第2外科
pp.489-492
発行日 1974年4月20日
Published Date 1974/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407206016
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はじめに
消化管の阻血による腹部緊急疾患は2つに大別できる.1つは,比較的末梢の血管の障害により,限局した腸阻血がおきたもので,いわゆる阻血性腸炎,出血性腸壊死などと呼ばれるものや,膠原病などによる腸壁内の血管炎がもとになつた腸穿孔などである.他の1つは,急性上腸間膜血管閉塞症で代表される腸血管起始部の急性閉塞症で,急激に広汎な腸阻血がおき,病態も重篤で,しばしば致命的なものである4).前者もそれなりに緊急疾患といえるが,重篤さ,早期診断と早期治療の重要さなどからみれば後者の緊急度の方がはるかに高い.ここではもつぱら,後者すなわち急性上腸間膜血管閉塞症を中心に述べ,他についてはこれより類推して頂きたい.この疾患の頻度は英国では1年間(1967)に約650例,北米合衆国では約1,800例が死亡するという3).わが国ではこれまでの報告例がたかだか200例で,比較的少ないようである,しかし未報告例や他の重篤疾患と合併して死亡したものなどを入れれば,それほど稀とも思われず,また,老年層や心血管障害例の増加とともに増加するおそれも多いと考えられる.
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