図解病態のしくみ—甲状腺疾患・2
バセドウ病とは
永田 格
1
1関西電力病院第1内科
pp.2184-2185
発行日 1976年12月10日
Published Date 1976/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402206995
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hyperthyroidism必ずしもバセドウ病ではない
本病は英語国ではGraves病と呼ばれ,わが国でもこちらが多用されるようになった.単にhyperthyroidismあるいはthyrotoxicosisといえば本病を指すのが一般で,事実,ほとんどがバセドウ病である,しかし,hyperthyroidism(甲状腺機能亢進症)はendogenous thyrotoxicosis,すなわち,患者自身の甲状腺組織による甲状腺ホルモンの過剰産生分泌状態(血中増量)をいう.バセドウ病では通常,甲状腺がびまん性に腫大するので,toxic diffuse goiterともいわれる.この状態は次に述べる二次性のhyperthyroidismにもみられるはずで,バセドウ病に限らない.そして,hyperthyroidismはいろいろな場合に起こるのである,甲状腺の一部に生じたアデノーマによるものはtoxic adenomaまたはPlummer病と呼ばれる.toxic multinodular goiterは稀なもので,バセドウ病のほかにプラスαの病因も考えられている.toxic nodular goiterという名称はtoxic adenomaを思わせるので好ましくないとされている.甲状腺癌では濾胞状のものが,そしてテラトーマ,とくに卵巣の中に含まれる甲状腺組織が機能亢進を示す(Struma ovarii)という珍しいのもある.
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