Update '96
バセドウ病手術の眼球突出に及ぼす効果
三村 孝
1
1伊藤病院
pp.1005
発行日 1996年11月15日
Published Date 1996/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902007
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バセドウ病患者のほとんどは眼症状を持っている.特に眼球突出は患者にとって大きな問題である.眼球突出の発生機序はいまだ完全には明らかにされていないが,CT,MRIなどの検査により球後脂肪織を含む結合織の増生と外眼筋の肥大が証明されている.1960年代,バセドウ病患者に甲状腺全摘を行うと眼球突出が改善するという報告がみられたが,わが国ではあまり顧みられなかった.最近,バセドウ病の標準手術である甲状腺亜全切除を行っても,眼球突出が改善するという報告が見られる.バセドウ病の治療法の1つであるアイソトープ治療を行うと眼球突出が増悪するともいわれる.この事実を証明するためには,今後多数例での検討が必要である.アイソトープ治療の出現により,過去の治療法とさえいわれるようになったバセドウ病手術も,このような見地から見直す必要がある.
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