特集 高齢者の外科—キュアとケア
[エディトリアル]高齢者の外科—キュアとケアに関する問題点
林 四郎
1,2
Shiro HAYASHI
1,2
1信州大学
2東京都多摩老人医療センター
pp.975-977
発行日 1995年8月20日
Published Date 1995/8/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901931
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新しい発展が期待される高齢者外科
以前には,緊急避難的に考えられていた高齢者に対する外科もごく一般的なものとなり,最近では90歳代の高齢者も対象にされ1,2),手術の適応,その意義が検討されるようになった.高齢者の場合,high riskと判定されることが多く,いかにして手術の安全性を高めるかが大きな目標であったが,その目標は着実に達成され,1995年2月に開催された第45回日本消化器外科学会のパネルディスカッションでも,80歳代,90歳代における消化器外科の現状が報告され,食道癌に対する食道切除,肝癌に対する拡大肝切除,膵頭部領域癌に対する膵頭十二指腸切除(PD)などもかなり積極的に実施されていることが明らかにされた3).しかし,対象が90歳代,100歳前後になるとなお検討を要する問題も多く,新しい発展が期待される今日である.今後の高齢者外科について,重視したい点を挙げたい.
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