私の工夫—手術・処置・手順・3
胃全摘術後における食道空腸器械吻合施行例の術後吻合部狭窄予防対策—バルーン付きゾンデの使用
村上 望
1
,
平野 誠
1
,
橘川 弘勝
1
Nozomu MURAKAMI
1
1厚生連高岡病院外科
pp.1462
発行日 1994年11月20日
Published Date 1994/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901716
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胃全摘術において,食道空腸の器械吻合施行例における術後狭窄は比較的多く認められる合併症の1つであり,術後の回復やQOLに多大な影響を及ぼす.この合併症を回避するために,術後吻合部のステープルの輪状構造を保持し,その内腔を確保するために,術中にバルーン付きのゾンデを経鼻的に挿入し,肉芽の過形成と粘膜相互の癒着によって発生する吻合部狭窄の予防を行った.
方法は,手術が終了し,閉腹前にバルーンゾンデ(クリエートメディック社製)(図1)を挿入し,吻合部よりバルーン下端が約4〜5cm下方の位置になるよう留置する.そして長さ12cm,外径2cmのバルーン内にウロビゾン®と生理食塩水を等分にした液を30ml注入し充満させる.バルーン内圧は測定していないが,バルーン内に30mlの液を入れた状態では強い陽圧とはならず,EEAによる食道・空腸吻合部の形状を保持する程度のものである.術後はX線撮影にて位置を確認し(図2),吻合部の上皮化の支障にならないように術後2日目に抜去している.1992年4月から始めて34例の症例に行ったが,吻合部の内視鏡的拡張術を必要とした症例はなく,術後の吻合部狭窄症例を経験していない.
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