特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胃・十二指腸
器械吻合による食道・空腸吻合
愛甲 孝
1
,
夏越 祥次
1
,
島津 久明
1
Takashi AIKO
1
,
Shoji NATSUGOE
1
,
Hisaaki SHIMAZU
1
1鹿児島大学医学部第1外科
pp.791-793
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210031
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近年,下部食道噴門切除後の胸腔内食道再建や胃全摘後の食道・空腸吻合においては器械吻合は一般的な手術手技のひとつとなりつつある.これから器械吻合を試みようとする外科医はいくつかの基本的要点とコツを理解しておかねばならない.確実な操作を行うためには,まず器械の構造,特徴をよく理解し,実施前には十分な点検が必要である.器械吻合のトラブルの原因の多くは,アンビルの固定不全,アンビル挿入時の組織損傷,タバコ縫合糸のセンターロッドへの緊縛不良,トリミング不足によるステイプルの打ち込み不全,吻合口径差の相違によるステイプル打ち込み不全,などである.また器械吻合でも食道空腸吻合部の十分な弛緩を得ることや,腸管内容による汚染防止なども手縫い法と同様に留意しなければならない.抜去後はカートリッジ内の食道と空腸のドーナツ型組織を確認することが重要である.また,トラブルの際,手縫いへと変更できる技術の習熟と心の余裕が大切である.
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