外科研修医実践講座・17
イレウスへの実践的対応
堀 孝吏
1
,
徳原 真
1
,
坂本 昌義
1
1三井記念病院外科
pp.1455-1459
発行日 1994年11月20日
Published Date 1994/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901714
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病態生理と治療方針
イレウスの病態生理で問題となるのは,腸管の通過障害による大量の水・電解質のthird spaceへの喪失と,口側腸管内圧上昇,血流障害,細菌の異常増殖の結果もたらされるbacteria, endo-toxin translocationである(図1).したがって,イレウスの診断がつき次第,水・電解質の補正と腸管内貯留液のドレナージを開始し,それと平行して腸管の通過障害の原因の究明を急ぐ.腸管内貯留液が保存的にドレナージできないような原因(例えば,絞扼性イレウス)がある場合には外科的な処置が必要となる.口側腸管のドレナージが可能である場合には,待機的に通過障害の部位と原因の究明を心掛ける.部位と原因がはっきりした場合にはそれぞれの病態に応じた手術を行う.癒着性単純性イレウスの場合でも保存的治療の限界は1〜2週間と考えている(図2).
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