特集 癌治療のプロトコール—当施設はこうしている
Ⅶ.膵癌治療のプロトコール
大阪府立成人病センター・第1外科
石川 治
1
,
大東 弘明
1
,
山田 晃正
1
,
佐々木 洋
1
,
今岡 真義
1
,
中泉 明彦
1
,
上原 宏之
2
,
西山 謹司
3
,
春日井 務
4
Osamu ISHIKAWA
1
1大阪府立成人病センター第1外科
2大阪府立成人病センター消化器内科
3大阪府立成人病センター放射線治療科
4大阪府立成人病センター病理
pp.196-200
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407904272
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術前診療のプロトコール
1.術前患者の評価
①質的・進行度診断
膵癌患者は黄疸,腹・背部痛を主訴として来院することが多い.腹部超音波(US)やCT検査を行い,膵腫瘤の存在を疑う場合には遠隔転移や局所進展(門脈,腹腔動脈,上腸間膜動脈への浸潤など)の有無を読影する.入院後ERCP,膵液細胞診,造影CT,血管造影を行えば,通常膵病変の質的診断,進行度診断は可能となる.腫瘍マーカー(CEA, CA19-9)や75gブドウ糖負荷試験は全例に行い,必要に応じて経皮経肝胆管造影(PTC),MRCP,超音波内視鏡1)などを付加する.一方,USやCT上明らかな膵腫瘤が同定できなくても膵管の軽度拡張や小嚢胞が認められたならば,このような症例(病変部位とは限らない)は微小・潜在膵癌の高危険群であることから積極的にERCPを施行する.その際,膵液を採取し,これに細胞診を行って,潜在膵癌(上皮内・微小浸潤癌)の発見に努めている2).膵液のK-rasやtelomerase遺伝子診断で陽性と判明し,癌細胞を検出できない場合には膵液検査によるフォローアップ間隔を1年から6か月に短縮している3).
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