特集 Dos & Don'ts外来の小外科
Ⅷ.乳幼児の外来外科疾患
9.リンパ節膿瘍
中平公士
1
,
竹内 敏
1
,
大野耕一
2
1大阪市立母子センター小児外科
2淀川キリスト教病院外科
pp.290-292
発行日 1993年10月30日
Published Date 1993/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901401
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病原体が原病巣からリンパ行性に散布すると,所属リンパ節に炎症が波及し炎症細胞が浸潤してリンパ節腫大が起こる.リンパ節被膜や周囲組織まで炎症が拡大すると硬結は増し,可動性がなくなり,圧痛,熱感,発赤(炎症所見)が明らかとなる.その後,膿瘍・壊死形成が起こると発赤・波動が出現して1),理学的にもリンパ節膿瘍(化膿性リンパ節炎)と診断される.小児のリンパ節膿瘍は頸部,特に顎下部に多く(表,図1)2)その起炎菌の大部分は黄色ブドウ球菌またはA群β溶連菌である3,4),頸部リンパ節腫大には日常しばしば遭遇するが,孤立性で炎症所見に乏しいlcmφ程度の小さなリンパ節(nonspecific reactive hyperplasia)の大部分は心配ない3,4).全身リンパ節腫大(頸部,腋窩,鼠径部など)や肝脾腫を伴ったり,炎症所見を欠く大きなリンパ節腫大(2cmφ以上)には,悪性リンパ腫,白血病や神経芽細胞腫などの悪性疾患を念頭におく1).
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