カラーグラフ シリーズ・新しい内視鏡治療・3
腹腔鏡を用いた急性胆嚢炎の治療
木村 泰三
1
,
吉田 雅行
1
,
桜町 俊二
1
,
松田 寿夫
1
,
後藤 秀樹
1
,
高林 直記
1
,
和田 英俊
1
,
今泉 強
1
,
原田 幸雄
1
,
橋本 治光
2
,
金丸 仁
2
1浜松医科大学第1外科
2藤枝市立志太総合病院外科
pp.1399-1404
発行日 1992年11月20日
Published Date 1992/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901028
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はじめに
急性胆嚢炎を急性期に手術するかどうかについては,議論のあるところである.米国においては,患者の病悩期間の短縮,入院期間の短縮,早期社会復帰,経済性など急性胆嚢炎の急性期手術の利点が強調され,急性胆嚢炎は急性期に手術されるのが通常となっている.
一方,わが国においては,保険制度の違いからか,上記の利点より,急性期手術を行った場合の診断の不確実さや手術の困難性を重視し,いったん保存的治療により炎症を消退させたあと,胆嚢摘出術を行う方針をとる施設が多い.特にPTGBDが用いられるようになり,炎症を比較的早く安全に消退させうるようになった今日,その傾向がまた強くなっているように思われる.同様の傾向は腹腔鏡下胆嚢摘出術(以下LC)においてもみられ,米国では,相当数の急性期手術が腹腔鏡下に施行されているのに対し,わが国では,急性胆嚢炎の急性期に行われたLC症例は少ない.
しかし,わが国においても,積極的に急性期手術を行っている施設もある.筆者は,開腹胆嚢摘出術において,胆石・胆嚢炎の手術時期と手術成績について比較検討を行ったことがある1).
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