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特集 腫瘍マーカーの理論と実際
胆道癌・膵癌の腫瘍マーカー
Tumor markers for bile duct carcinoma and pancreatic carcinoma
佐竹 克介
1
Katsusuke SATAKE
1
1大阪市立大学医学部第1外科
pp.573-579
発行日 1992年5月20日
Published Date 1992/5/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900788
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胆道癌,膵臓癌は消化器癌のなかでも予後不良の癌であり,その予後改善のためにはより早期の発見が必要となる.かかる観点より胆道,膵臓の癌を簡便にかつ的確に診断できる腫瘍マーカーが必要となる.胆道癌,膵臓癌の診断のためCEA,CA 19-9,CA 50,Span−1,DUPAN−2などの腫瘍マーカーが広く使用されているが,スクリーニングテストとして使用可能な満足すべき感受性と特異性を有するものは発見されていない.したがって,腫瘍マーカー測定単独では胆道癌,膵臓癌の診断は不可能に近い.しかし,症状を有し,腫瘍マーカーの上昇のみられた患者に対しては画像診断を用いて癌の発見に努めるべきで,癌の補助診断として役立つ.また,これら腫瘍マーカーは腫瘍の増大とともに増加するものが多く,患者の治療前後のモニターに有用である.腫瘍マーカー測定単独による胆道癌の早期発見は困難であるが,膵癌においては4.0cm以下の小膵癌で70%前後にCA 19-9,Span−1の上昇がみられ,早期診断の可能性も示唆される.本稿では,これら腫瘍マーカーの胆道癌,膵臓癌の診断に対する一長一短について現在までの知見を述べた.
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