特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
慢性膵炎・膵嚢胞
外科から
鈴木 敞
1
,
村上 卓夫
1
,
浜中 裕一郎
1
,
岡 正朗
1
,
内山 哲史
1
,
川村 明
1
1山口大学医学部第2外科
pp.1517-1522
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900261
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慢性膵炎は良性疾患であるので,まず内科医による治療が先んずるべきことに異論はない.また膵嚢胞も一部の腫瘍性のものを除けば,緊急事態に陥った場合は別として,早急なる手術を要することは比較的少ない.とはいうものの,病態によってはいずれも時宜を得た外科的療法に移行せねばならないタイミングがある.この手術に踏み切るのはいかなる時期であるかについては,内科側と外科側との間のみならず,外科医同士の中でも微妙な見解の相違がある.また手術適応ありと決まっても,ではどういう術式が最も望ましいのかとなると,これまた確たる鉄則が厳存するわけではない.
企画の趣旨に従って,慢性膵炎を論ずるべく,保存的治療を中心にすえて外科の立場から上記周辺に可及的に迫ってみたいが,命題に呈示された「保存的治療の適応」なる概念は,悪性疾患に対してではなくてこの良性疾患に適用すべく,やや違和感がつきまとうのを禁じえない.特に良性疾患を長期間にわたって保存的に治療する機会に恵まれない外科医にとって,さらにまた「保存的治療の限界」なる語感も,引き続き「外科的治療の適応」へと煮詰めていった方が理解しやすいようにも感ぜられる.
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