特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
膵頭十二指腸切除後のドレナージ
鈴木 敞
1
,
浜中 裕一郎
1
Takashi SUZUKI
1
,
Yuichiro HAMANAKA
1
1山口大学医学部第2外科
pp.942-945
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210081
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膵頭十二指腸切除(以下PD)後のドレナージには"管腔内ドレナージ"と"腹腔ドレナージ"とがある.
管腔内ドレナージは,術中に消化管内や主膵管,胆管内にチューブを挿入しておいて,術後しばらく消化管内容,膵液,胆汁などを体外に誘導する処置であり,縫合不全防止を最大目的とするが,部位により造影剤,薬剤,栄養剤投与などにもこの誘導チューブを利用する.とりわけ,膵液ドレナージは,ときに致命的となる膵空腸吻合部縫合不全の防止に最も重要である.
腹腔ドレナージは,膵切除後に腹腔内に貯留してくる血液,浸出液,リンパ液,臓器漏出液,乳糜,組織液などを体外に排出し,感染を防止すると共に,新たに発生するかもしれない縫合不全や出血の察知,およびそれらの治療を期して施行されるものである.また極めて特殊な状況下では,このドレーンを腹腔洗浄または腹膜灌流用,温熱療法用,薬剤投与用に利用することもある.
1本のドレーンが生死の鍵を握ることも稀ではない.反面,ドレーンの生体内異物としての害も知っておく.これらをふまえた上でPDにおけるドレナージのコツを説明する.
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