特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
膵癌手術の上腸間膜動脈周囲郭清
鈴木 敞
1
,
村上 卓夫
1
Takeshi SUZUKI
1
,
Takuo MURAKAMI
1
1山口大学医学部第2外科
pp.916-918
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210072
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上腸間膜動脈周囲リンパ節は膵頭部癌では第1群リンパ節であって,標準切除術式下においても郭清されねばならない.この上腸間膜動脈(以下SMA)の本幹にはSMA神経叢が付着していて,膵癌はしばしばリンパ節転移とは別に膵頭神経叢第2部をへてこの神経叢まで進展することが知られている.従ってSMA周辺の郭清はリンパ節を神経組織もろとも除去するのが本筋である.が反面,この神経組織の徹底郭清は小腸の運動,分泌,血流障害などを通じて高度の消化吸収障害をもたらすことが知られている.このように本郭清に関しては根治性と機能保全との二律背反をめぐっての論議が絶えない.
筆者は目下のところ,標準術式下においてはSMAの右半周に沿う領域の郭清にとどめ,そして拡大術式下ではSMAの全周全長に亘る神経組織を含めた完全郭清を採用する方針をとっている.これら郭清操作には意識的に電気メスを頻用している.
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