特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
胆石症
外科から
松代 隆
1
,
徳村 弘実
1
1東北労災病院外科
pp.1485-1489
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900252
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
最近まで開発された胆石症の治療法をみると,経口的胆石溶解療法に始まり,内視鏡的乳頭切開術による切石術(EST),術後胆道鏡検査による切石術(POC),経皮経肝性胆道鏡下切石術(PTCS-L),胆嚢結石症に対する経皮経肝性胆嚢鏡下切石術(PTCCS-L),さらには体外衝撃波破砕療法(ESWL)が登場するにいたり,胆石症の治療は切るか切らざるかの時代を過ぎ,これらの治療法をいかに適応するかの時代に入ったように思われる.多くの施設で,それぞれ独自の見解に基づいて治療を行っているのが現状であろう.
筆者らは,これまで胆石症の外科治療に際しては,胆石の種類によりその成因がまったく異なることを念頭において治療方針をたてることが最も肝要であることを強調してきた1),すなわち,コレステロール胆石(コ石)と黒色石は胆嚢で生成されるので,胆嚢を摘出し,胆管内胆石を除去すれば,胆石再発の危険はまずない.これに反し,ビリルビン・カルシウム石(ビ石)では,胆石が生成される大きな原因である十二指腸乳頭炎(乳頭炎)に由来する胆汁うっ滞を除去しなければならない,このために,ときには単なる胆管ドレナージにとどまらず種々の付加手術が要求される.このことは,胆石症にいかなる治療法を選択するかを考える際にも最も重要なことと思われる.
Copyright © 1990, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.