今月の主題 胆道疾患診療のトピックス
胆石治療の最近の進歩
胆石の手術適応と術後愁訴
松代 隆
1
,
藤原 英利
1
,
小山 裕文
1
,
林 仁守
2
1東北労災病院・外科
2東北労災病院・内科
pp.634-639
発行日 1985年4月10日
Published Date 1985/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402219703
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胆石症の治療に際しては,その胆石がいかなる条件下で生成されたものか,つまり,炎症下で生成された胆石か,非炎症下で生成された胆石かを鑑別することが肝要である.前者に属するものはビリルビンカルシウム石(ビ石)であり,できるだけ早く外科的治療を行わねばならない.後者としてはコレステロール胆石(コ石)と黒色石があり,無症状胆石はこの種の胆石である.したがって,これら胆石による胆石症では手術適応をいかに考えるかが問題となる.さらに最近,胆石症の大部分を占めるコ石に対する経口的胆石溶解剤が開発され,コ石に対する手術適応が変わってきたことも事実である.
胆石症の手術適応を考える場合,それが非炎症下で生成された胆石であっても,急性胆嚢炎など急性炎症,胆嚢膿腫や水腫,萎縮胆嚢,胆管結石を合併した症例は絶対的手術適応であることに異論を唱えるものはない.問題となるのは,無症状胆石を含めた症状の軽い胆嚢結石症である.このような胆嚢結石症の手術適応は,①放置した場合どのような経過をとるか,②発症の様式はどうか,③現在の胆石症に対する手術成績④胆石溶解剤の効果,によって決めるべきである.ここではコ石胆嚢結石症を中心に,手術例についてこれらの問題を検索し,その手術適応について検討を加えるとともに,胆石症術後愁訴例の対策について言及する.
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