特集 保存的治療の適応と限界—外科から,内科から
肝嚢胞
内科から
斎藤 昌三
1
,
山口 嘉和
1
1杏林大学医学部第3内科
pp.1454-1457
発行日 1990年10月30日
Published Date 1990/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900244
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肝嚢胞は,超音波によるスクリーニング検査で発見される頻度は0.35〜1.26%であり,そのうち多発性肝嚢胞の占める割合は55.6〜75.9%である1).小さな嚢胞は無症状であり治療の必要はないが,腹部膨満などの症状が強い場合や他臓器の圧迫症状を伴う場合は治療が必要となる.
従来,多くは外科的治療が行われてきた.また,侵襲の少ない方法として,超音波ガイド下または腹腔鏡下に穿刺排液する方法が行われ,臨床的に十分な緩解期間を期待できるという報告もある2).しかし,単なる穿刺排液のみでは,短期間内に嚢胞液の再貯留をみることが多く,十分な治療効果はみられないことが多い.Sainiら3)は,2年以内に100%の再発をみたと報告しており,われわれの経験でも,穿刺排液後2〜3ヵ月以内に嚢胞の再腫大による症状の再発をみることが多かった.
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