膵臓手術の要点—血管処理からみた術式の展開・4
膵癌に対する拡大手術
加藤 紘之
1
,
田辺 達三
1
,
下沢 英二
1
,
児嶋 哲文
1
,
奥芝 俊一
1
,
中嶋 公博
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.1275-1279
発行日 1990年10月20日
Published Date 1990/10/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900203
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Ⅰ.膵全摘術と門脈合併切除
膵全摘術に特有の血管処理はないが,残胃の栄養血管として左胃動脈を注意深く温存する,短胃動静脈を結紮切離して,脾および膵体尾部を大きく右方へ翻転する1).
膵全摘術が必要な症例の多くは門脈合併切除を要するので,あらかじめ鼠径部を開いて,大伏在静脈と上腸間膜静脈の間にアンスロンカテーテルを挿入しておく2).門脈肝血流遮断時間はできるだけ短縮すべきであるから,カテーテルはクランプしておき必要時に備える.それに関連して,肝動脈剥離にはとくに注意が必要であり,操作時の攣縮がとれ,強い拍動が得られてはじめて門脈遮断が可能となったと判断すべきである3).門脈合併切除を予定した場合の血管処理について述べる.
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