膵臓手術の要点—血管処理からみた術式の展開・1【新連載】
膵臓手術に必要な血管の走行と変異
加藤 紘之
1
,
田辺 達三
1
,
下沢 英二
1
,
児嶋 哲文
1
,
奥芝 俊一
1
,
中嶋 公博
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.911-914
発行日 1990年7月20日
Published Date 1990/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900147
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はじめに
膵臓手術が極めて困難とされた時代から,比較的身近な臓器として扱われるようになるまでの間には,多くの先達の絶え間ない努力の積み重ねがあったことを忘れることはできない.超音波検査,CTスキャンなどの進歩と普及に伴い膵臓疾患の診断能は格段の進歩をとげつつあり,精密な血管造影は疾患の鑑別能をさらに高めている.その背景にある生化学的検索が,機能面からみた治療法の選択に大いに寄与していることはもちろんである.このような診断部門の発達に伴って,外科医に要求される膵臓手術の難易度も変わってきており,より的確な術前・術中判断と,術後の機能をも考慮した術式の選択が課題となってきている.
このシリーズでは,多種多様な膵臓手術に対応しうる手技上の課題を,特に血管処理面からとらえ,手技の実際と損傷時の対処法などについて述べる1〜5).
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