胆道手術の要点—血管処理からみた術式の展開・7
上部胆管癌に対する拡大肝右葉切除術
加藤 紘之
1
,
下沢 英二
1
,
児嶋 哲文
1
,
田辺 達三
1
1北海道大学医学部第2外科
pp.236-240
発行日 1990年2月20日
Published Date 1990/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407900038
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はじめに
拡大肝右葉切除術は上部胆管癌に対する根治的手術術式として標準化され得る術式であるが,肝予備機能低下,左門脈の閉塞,腫瘍浸潤の左肝管への片寄りなどがある場合には施行できない.一方,腫瘍浸潤が右肝管側に深く入り込んでいても左門脈幹の閉塞がなく,また拡大肝右葉切除に耐え得る予備機能をもつ例では良い適応となる1〜5).右肝管前後区域枝が腫瘍浸潤によって分断されようとしている例などでは,間もなく高度黄疸の持続,胆管炎を引き起こし,その予後は極めて不良であることから,減黄が得られれば少々予備力が数値上,低下していても思い切って病巣を切除することが救命への道であると考えられる.
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