FOCUS
遠隔手術の現在
沖 英次
1,2
,
太田 光彦
1
,
諸橋 一
2,3
,
海老原 裕磨
2,4
,
絹笠 祐介
5
,
袴田 健一
2,3
,
平野 聡
2,4
,
森 正樹
2,6
,
池田 徳彦
2,7
Eiji OKI
1,2
1九州大学大学院消化器・総合外科
2日本外科学会遠隔手術実施推進委員会
3弘前大学大学院消化器外科学講座・小児外科学講座
4北海道大学大学院消化器外科学分野Ⅱ
5東京医科歯科大学消化管外科学分野
6東海大学医学部
7東京医科大学呼吸器・甲状腺外科学
pp.818-821
発行日 2024年7月20日
Published Date 2024/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214592
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はじめに
遠隔手術の検討は20年以上前から行われている.2001年にフランス(ストラスブール)-米国(ニューヨーク)との間で手術支援ロボット(ゼウス)を使った胆囊摘出術が行われ,世界中を驚かせた1).しかし,当時ロボット支援手術は一般医療としては普及しておらず,本研究に使われたような光ファイバーによる通信網も高額で,一般の医療で使用されることはなかった.このため,その後しばらく遠隔手術の本格的な臨床検討は行われてこなかった.
しかし近年,世界中でロボット支援機器による手術が一般的なものとなり,日本国内でも保険収載後に手術数は劇的に増加した.すでにロボット支援下手術は日常の診療である.また,ブロードバンド通信網も,インターネットの普及により急速に発達し,5G通信も一般に使用可能となった.地方の医師不足や高齢化社会により,オンライン診療の必要性も急速に増している.
医療は年々高度化,専門化している.ロボット支援手術をはじめとして外科領域も例外ではなく,技術のupdateが常に必要である.遠隔手術が適切に活用されれば,将来の地域医療の格差が少しでも解消できるかもしれない.
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