FOCUS
ctDNAを利用した大腸癌の術後モニタリングによる治療確立をめざした大規模臨床試験(CIRCULATE-JAPAN)
沖 英次
1
,
竹政 伊知朗
2
,
加藤 健志
3
,
安藤 幸滋
1
,
三代 雅明
3
,
小髙 雅人
4
,
渡邉 純
5
,
山崎 健太郎
6
,
谷口 浩也
7
,
中村 能章
8
,
小谷 大輔
8
,
白数 洋充
6
,
由上 博喜
8
,
三島 沙織
8
,
衣斐 寛倫
9
,
山中 竹春
10
,
吉野 孝之
8
,
森 正樹
11
Eiji OKI
1
1九州大学大学院消化器・総合外科
2札幌医科大学消化器総合乳腺内分泌外科
3大阪医療センター外科
4医療法人薫風会佐野病院消化器がんセンター
5横浜市立大学附属市民総合医療センター消化器病センター
6静岡県立静岡がんセンター消化器内科
7愛知県がんセンター薬物療法部
8国立がん研究センター東病院消化管内科
9愛知県がんセンター研究所
10国立がん研究センター東病院データサイエンス部
11東海大学医学部
pp.1163-1166
発行日 2021年9月20日
Published Date 2021/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213452
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背景
血中微量遊離がん由来DNA(circulating tumor DNA:ctDNA)の有無で大腸癌術後症例を層別化し,薬物療法の選択に役立てる臨床研究(CIRCULATE JAPAN)が開始されている.
大腸癌は根治手術が行われていても再発することがある.このため,手術時の病理学的ステージにより症例を層別化して術後補助療法が行われる.Stage Ⅲもしくは,再発リスクの高い一部のStage Ⅱの結腸癌では,術後に3〜6か月のmFOLFOX6(5-FU/ロイコボリン/オキサリプラチン)もしくはCAPOX療法(カペシタビン/オキサリプラチン)の併用療法が行われる.しかし術後補助療法に用いられるオキサリプラチンには,有害事象としての末梢神経障害が長期に持続することがある.また,術後補助療法の効果は決して満足できるものではなく,再発リスクを20%程度減少させるのみである.このため,病理診断とは独立して予後を予測するGenetic Signatureで再発リスクを評価し,薬物療法の選択の参考にする試みも行われてきた.米国臨床腫瘍学会(ASCO),欧州臨床腫瘍学会(ESMO)のガイドラインには,OncotypeDX. ColDX, Immunoscoreなどの遺伝子アッセイが紹介されている1,2).これらは,多変量解析でも病理診断とは独立した予後因子にはなるものの,周術期治療の選択基準に影響を与えるほどのインパクトがあるアッセイとはいえなかった.
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