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ロボット支援手術は,術者が患者から離れた位置の操縦席からロボットアームを遠隔操作して手術を行う,いわば手術室内の遠隔手術である。近年,情報通信技術(information and communications technology:ICT)の発達と新たな手術支援ロボットの開発によって,操縦席とロボットアームを遠く離れた別施設に配置し,両者を通信ネットワークで接続して遠隔手術を実施することが可能な環境(tele-presence surgery)が生まれている1)(図1)。遠隔手術には,遠隔から参加する医師(遠隔医師)の手術に果たす役割に応じて3つの段階が想定される(表1)。第1段階は,遠隔医師が伝送された術野映像をもとに,現地の医師に遠隔手術指導(tele-mentoring)を行う形態である。指導の方法としては音声やモニター上に書き込みを入れるアノテーションなどがあり,すでに活用が始まっている。第2段階は,遠隔医師がモニター上に映し出されるリアルタイムの術野映像をみながら,遠隔操作で手術の一部ないしすべてを行う遠隔手術支援(tele-surgery with local surgeons)である。熟練した外科医が,現地の外科医療チームを技術支援することを想定している。第3段階は,現地に外科医不在の極限環境下で,遠隔医師が遠隔操作だけで手術を完遂する完全遠隔手術(complete tele-surgery)である。宇宙空間や紛争地などでの手術が想定されるが,現状では技術的・倫理的ハードルが高く,近未来の遠隔手術ともいえる。本稿では,現在整備が進められている遠隔手術支援を対象として,現在の課題と今後の展開について概説する。「KEY WORDS」遠隔手術支援,伝送遅延,高速大容量通信技術,手術のデジタル化
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