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沖縄県立八重山病院がある石垣島は沖縄本島の南西約411 kmの地点,わが国最南西端に位置する八重山諸島の中心にあります.当院は,石垣島,西表島,与那国島,その他の島の人口約55,000人およびコロナ前は年間100万人以上ともいわれた観光客を対象とし,「地域とともに八重山の医療を守る」をモットーに急性期医療を提供しています.周辺離島の診療の救急対応として海上保安庁のヘリ搬送を受け入れており,また,当院での治療が難しい大動脈解離やカテーテル治療を要する脳動脈瘤などは自衛隊に依頼して沖縄本島にヘリ搬送しています.災害拠点病院,へき地医療拠点病院,地域がん診療病院に指定されています.2018年10月1日には建築後30年以上と老朽化した旧病院に代わり,302床(一般255床)の新病院が開院しました.放射線治療はできませんが,その他はほぼ最新の設備が整っています.総職員476名,勤務医師60名で,琉球大学,県立南部医療センター,県立中部病院,弘前大学と連携して研修医,後期研修医を受け入れています.
当科は沖縄県立病院出身者と弘前大学からの派遣医を中心に常勤医6名で診療をしています.外科専門研修に関しては,沖縄県立病院と弘前大学のプログラムに参加して専攻医を受け入れています.また,日本消化器外科学会専門医修練施設にもなっています.当科は八重山医療圏,唯一の総合病院として,多種・多様な外科系疾患に対応する必要があります.胸部外科は専門医に応援依頼し,肺部分切除や気胸の手術を行っています.腎動脈以下の腹部大動脈切迫破裂など,沖縄本島への搬送が難しい場合,血管外科専門医を呼んで手術をすることもあります.脳神経外科の緊急手術にも外科医が助手として手術に入ることで,より広い意味で外科系の修練ができます.当科の滝上隆一医師は「国境なき医師団」に年間,数か月参加しており,近年,国内では少ないといわれる外傷手術の経験を積んで当院の診療に貢献してもらっています.2021年はコロナ禍で外科も数か月間,予定手術が組めなくなり緊急と悪性腫瘍の手術に限定されるなど大幅に症例数が減少しました.2021年の主な手術症例数は,胃切除6例,大腸切除40例,胆囊摘出術19例,虫垂切除39例,ヘルニア49例でしたが,2023年はコロナ禍以前の症例数に近づくことが期待されています.
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