連載 病院経営に効く1冊・5
『八重山病院 データでムヌカンゲー2』
伊関 友伸
1
1城西大学経営学部
pp.375
発行日 2015年5月1日
Published Date 2015/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541209856
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筆者は本誌2015年1月号から「事例から探る地域医療再生のカギ」を隔月連載しているが,全国の現場を回っていると,医療崩壊の危機に直面している病院に対して,住民の意識が低い地域が少なくないと感じる.
本書の著者の上原氏は,沖縄県石垣島にある県立八重山病院に勤務する麻酔科医である.上原氏も,日ごろから住民は病院の提供する医療について,現実を理解しておらず不平不満が増幅していること,病院スタッフも多忙による余裕のなさから現実を伝えられないもどかしさが存在することを感じていた.そのような関係をなくしたいと考え,2010年11月から地元の八重山毎日新聞に「データでムヌカンゲー」というコラムの連載を始めた.「ムヌカンゲー」は,沖縄の方言で「ものごと(ムヌ)」と「考え(カンゲー)」を合わせた言葉で,「いろんなものを見て,聞いて,感じて,次に活かすための思考」という意味である.コラムは,毎回,八重山病院の医療に関するデータを紹介,分析を行うことで,読者に医療現場で何が起きているかについて考えてもらうものとなっている.
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