FOCUS
—日常診療+αでできる—がん患者の記憶に残りやすいコミュニケーションや心理的技法
蓮尾 英明
1
Hideaki HASUO
1
1関西医科大学心療内科学講座
pp.237-240
発行日 2023年2月20日
Published Date 2023/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407214047
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はじめに
医療者が,緩和ケア領域のがん患者・家族に対して医療としてできることには限界があります.別の言い方をすると,緩和ケアのEBMは限られているため,医療者にかかる表面的な責任が少なく感じることはないでしょうか.つまり,医療者の偏った考え方や知識次第で,がん患者・家族のその後の経過は大きく変わってしまいます.緩和ケアのEBMが少ない分,医療者が果たすべき役割は非常に大きいのです.
緩和医療の領域では多職種連携の重要性が謳われています.一方,緩和ケア領域のがん患者が最も望んでいるのは,がん治療医による緩和ケアでしょう.つまり,外科医の先生方は,誰よりもがん患者・家族を支えることができます.一方,外科医は誰よりも忙しいと思います.そのなかで,外科医の先生が,がん患者・家族とのコミュニケーション技術を,日常臨床+αのなかで高めることができたら,多くのがん患者・家族が救われるでしょう.
がん治療領域でのコミュニケーション技術として,がん治療医が悪い知らせを伝えるためのコミュニケーション技術であるSPIKES(Setting, Perception, Invitation, Knowledge, Empathy, Strategy/Summary)が有名です1).今回はSPIKESは取り上げず,外科医の先生方が明日からの臨床で活かせるように,がん患者・家族の記憶に残りやすいコミュニケーションと心理的技法を,心理学からの切り売りで紹介します.詳細は成書をご参考ください.
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