書評
—小坂眞一(著)—切る・縫う・結ぶ・止める—外科基本手技+応用スキル[Web動画付]
塩瀬 明
1
1九大大学院・循環器外科学
pp.392
発行日 2022年4月20日
Published Date 2022/4/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213674
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一流のスポーツ選手や音楽家の感動を呼ぶ華やかなパフォーマンスの裏には,長年の地道な基本手技の繰り返しによる習得がある.本書は,外科医にとっての基本手技の重要性を説き,文章でも写真でもイラストでも動画でもその手技を理解できるよう工夫されている.さらに手の固定,指の使い方,回旋,感覚など今まで漠然と経験的に取得してきた「外科医の手」について,解剖学的特性から理路整然と解き明かされたことは画期的である.
手指の効率的な動かし方に基づいた鑷子,鋏,持針器などの道具の使い方や糸結びについて,若手のみならず経験豊富な外科医にも大いに学ぶべき内容,解説が随所に述べられている.日頃から道具の特性を熟知し,敬意を払って丁寧に使うべし,という著者の立場から,道具の構造から使用方法まで解説されているため,外科医各個人が自分に合った道具を選ぶ際に大いに参考になる.外科手術では避けて通れない止血の項目では,効果的な止血点の探索法や止血法のエッセンスが述べられ,実際の手術で止血に困った時には,本書で述べられていることを参考にすれば出血コントロールも可能であろう.
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