増刊号 Stepごとに要点解説 標準術式アトラス最新版—特別付録Web動画
8.ヘルニア
腹壁瘢痕ヘルニアに対する腹腔鏡下手術
梅邑 晃
1
,
須藤 隆之
2
,
藤原 久貴
2
,
新田 浩幸
1
,
佐々木 章
1
Akira UEMURA
1
1岩手医科大学外科学講座
2盛岡市立病院外科
キーワード:
腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術
,
IPOM plus法
,
eTEP法
Keyword:
腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術
,
IPOM plus法
,
eTEP法
pp.290-296
発行日 2021年10月22日
Published Date 2021/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407213520
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Step1 トロッカー配置と準備
腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術では,前回の手術創,手術施行部位,術後合併症などによる癒着要因の追加,肋骨弓や恥骨・膀胱などの解剖学的特性を意識したトロッカー配置が求められる(図1).腹腔鏡下腹壁瘢痕ヘルニア手術の中で現在広く行われているのは,intrapaeritoneal onlay mesh(IPOM)法に腹壁閉鎖を加えたIPOM-plus法であるが,体腔内縫合やタッカーによるメッシュ固定を効率的に行うためには,ヘルニア門よりなるべく遠位にトロッカーを配置する必要がある1).われわれは,第1トロッカーの挿入部位を前回の手術創,手術施行部位の対側を原則とし,ヘルニア門外縁から可能な限り外側(鎖骨中線よりも外側)を目安にしている.下腹部に限局した腹壁瘢痕ヘルニアであれば,正中でも問題ないが,メッシュ固定時に肝円索の処理が必要となる症例もあるため,肋骨弓下から第1トロッカーを挿入することが多い.
IPOM-plus法では,基本的に3本のトロッカーを同側に置くことを常に意識することが肝要である.トロッカーを対側に置いた場合には術中操作の段階で必ずミラーイメージとなり,鉗子,デバイスや縫合操作などを誤ると術中合併症に直結しかねない.あらゆる腹壁瘢痕ヘルニアに対しても確実なIPOM-plus法を行うためには,トロッカー配置は極めて重要な要素である(図2).
*本論文中、[▶動画]マークのある図につきましては、関連する動画を見ることができます(公開期間:2026年10月末まで)。
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