特集 術前ワークアップマニュアル—入院から手術当日までの患者管理
Ⅰ.術式別:術前患者管理の実際
11.ヘルニア手術
腹壁瘢痕ヘルニア手術
里見 昭
1
,
村上 三郎
1
,
高橋 茂樹
1
,
川瀬 弘一
1
,
竹内 浩紀
1
,
田中 克幸
1
1埼玉医科大学第2外科
pp.228-232
発行日 1996年10月30日
Published Date 1996/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407902482
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腹壁瘢痕ヘルニアは,手術が唯一の治療法である.無症状でも絞扼嵌頓の危険性や増大傾向のある例は早期に手術を行う.しかし,局所感染のある場合は術後創感染を起こし再発しやすいため,手術を回避すべきである.また,生死にかかわる合併症を有したり,予後不良の悪性疾患や手術に耐え難い症例は手術の適応としない.とくに高齢者で,喘息,糖尿病,肥満などの合併症を持つ例は術後再発が多いだけでなく,腹圧の上昇による呼吸不全や心血管系の不全におちいる危険性もある.大きなヘルニア門の修復に際しては,適切な術式の選択と呼吸器系,循環器系,消化器系の異常や臓器予備能を把握し,予め治療を行うなど予測される術後合併症に備える.
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