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わが国において「少子高齢化」が叫ばれて久しい.社会構造のdrasticな変化が様々な領域の変革を必要としている.われらが外科領域においても,若手の外科離れのみならず,外科医の高齢化が深刻な問題になっている.厚生労働省医師調査でも50〜69歳の外科医の割合が着実に増加し続けており,一方,29歳以下の割合が減少してきている.医師数全体が右肩上がりで増えているにもかかわらず,外科医の絶対数は減少している.最近の公衆衛生学手法による結果では(Hara K, Imanaka Y. BMJ Open 2018),必要とされる外科医数(需要調整人口対医師数)に対し,現存の外科医数は70%程度しか満たしておらず,かつ低下し続けている.その傾向は他科に比較し際立って顕著である.すなわち,年々外科医の仕事量が増えているにもかかわらず高齢化している,ということになる.明るい話題がない外科を取り巻く環境であるが,初期臨床研修制度で2020年度から外科必修が復活するとのことなので,少々一安心である.しかしながら,初期研修だけではなく,その後に外科をめざしてもらうことが重要であり,やりがいのある外科の魅力を若い間に何とか感じとってもらうわれわれの取り組みも,また大切であると痛感している.そのためにも,外科医のstatusを適切にもっと上げたいものである.
昨今,「働き方改革」のもと,その波が医療業界にも押し寄せている.外科医は最も縁遠い職業と思っていたが,若手離れの理由を考えると,そうとも言ってはいられない.時代に対応した変革が,外科医の職場環境にも求められており,これからの外科診療を維持していくために,これもまた重要なことであると感じている.
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