1200字通信・123
賢者と愚者—耳学問の勧め
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.67
発行日 2018年10月22日
Published Date 2018/10/22
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407212221
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- 文献概要
この世に生れてきて,一人の人間がその一生で体験できることなどといったら高が知れているのではないでしょうか.現代のように多くの情報が容易に手に入る時代に生きていてさえそうなのですから,太古の昔であれば,生きてゆくだけで精一杯であり,自分の周りの世界が唯一無二,その中で全てが完結していたのではないでしょうか.ただ,それはそれで,むしろ幸せだったのかもしれません.
幸か不幸か,現代に生きる私達は,学問を修めることで過去の経験や知識を学び,自分が実際に体験できないことや違う世界を知ることができています.さらには,最近の情報化社会は,ありとあらゆる知識や情報(無用かつ有害なものまで)を簡単に提供してくれ,プロ顔負けの知識を持った素人衆も登場し,時にその道のプロを辟易させていることは皆さんも体験済みのことと思いますが,それで幸福かというとちょっと違うようです.
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