FOCUS
腹腔鏡内視鏡合同手術(LECS)
安福 至
1
,
比企 直樹
1
,
布部 創也
1
,
熊谷 厚志
1
,
江藤 弘二郎
1
,
庄司 佳晃
1
Itaru YASUFUKU
1
1がん研有明病院消化器外科
pp.749-755
発行日 2017年6月20日
Published Date 2017/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211653
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はじめに
胃粘膜下腫瘍に対する,腹腔鏡下胃局所切除術は,簡便かつ安全な術式として広く普及している.しかし胃内発育型の腫瘍の場合,胃漿膜面からの腹腔鏡観察のみでは腫瘍の局在を正確に把握することが困難な場合がある.また,リニアステイプラーを用いた楔状切除は,腫瘍周囲の正常な胃壁の余分な切除をまぬがれないため,腫瘍の局在や大きさによっては胃壁の欠損が大きくなり,手術後の胃の変形や狭窄によって通過障害などをきたすことがある.
われわれはこの問題を解決すべく,2006年に腹腔鏡内視鏡合同手術(laparoscopy and endoscopy cooperative surgery:LECS)を開発した1〜3).LECSは腹腔鏡と内視鏡の併用により腫瘍の全貌を把握し,内視鏡による胃切除範囲の設定と内視鏡下粘膜下層剝離術(endoscopic submucosal dissection:ESD)のテクニックを応用した胃壁の全層切開,腹腔鏡による安全な術野の確保と縫合閉鎖を行う術式である(図1).胃の内外から腫瘍を観察しながら胃壁を切開することで,胃切除範囲を最小限とすることが可能となり,縫合閉鎖による胃壁の変形の予防が可能となった.
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