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あとがき
宮崎 勝
pp.128-128
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211068
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十二指腸乳頭部腫瘍には,良性のvillous adenomaから悪性化した乳頭部癌まで広いスペクトラムの腫瘍が発生するが,その治療としては切除がベストかつ唯一の方法である.近年,内視鏡的乳頭切除術が多くの消化器内視鏡医により報告がなされるようになってきているが,いまだその合併症も少なくなく,また癌であった場合の適応についてさまざまな問題が提議されてきている.2014年に発刊された胆道癌診療ガイドライン第2版においてもこの点が特に詳しく記載されており,内視鏡的であろうが外科的な経十二指腸的であろうが乳頭部切除は良性腫瘍のみの適応とすべきであり,切除標本でcarcinoma in situが認められた場合までにとどめるべきであるとなっている.
本特集ではこのような十二指腸乳頭部病変に対して,実臨床においてどのような診断法に基づいて,具体的にどのような治療戦略を行っていくかを,さまざまな病変ごとにその各エクスパートらに述べてもらっている.ボーダーライン的な部分もあることより,この特集号のすべてを俯瞰してみると,現時点での十二指腸乳頭部病変に対する結論の得られていない課題点もよく見えてくることと思う.そのような最新の情報がこの特集号から多く得られるものと思われる.ベストプラクティスとスタンダード診療の違いについても考えさせられるこの特集号を楽しんでもらえれば幸いである.
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