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あとがき
宮崎 勝
pp.254
発行日 2013年2月20日
Published Date 2013/2/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104486
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外科手術後の様々な合併症の中でも,特に血管系合併症は重篤で致死的な結果を時にもたらすことがあるが,迅速な診断により適切な対応処置を行うことで,術後経過を順調に復することができる.本特集でも述べられているように,血管系合併症においては,施行された手術にもよるが,外科的処置すなわち再手術を行うことで迅速かつ適切な対応がなしうる場合もしばしば遭遇する.外科医にとって,このような血管系合併症の発症を常に念頭に置き術後経過を診ていくことは極めて重要なことである.また,いったん診断がなされた際には,時には躊躇なく再手術に踏み切っていくことも極めて大切である.そのためには,外科医はその知識および対応できる様々な技量を個人のみならずチーム全体で有しているということも重要な点である.
どの部位の手術であっても,外科手術後には全身部位に様々な合併症が発症しうるものであり,外科医は常に患者の全身病態を診る癖を身につけておくべきである.早期診断および早期対応が,これら術後の血管系合併症の対策には最も重要なポイントであることを改めて強調しておきたい.若い外科医には常に患者の全身を診て病態を考えることの重要さ,学問的面白さを認識して手術に臨んでいってもらいたいものである.外科の学問的深さ・楽しさは外科手術手技のみではなく,術前術後の患者の病態把握および処置管理にもあることを忘れないでいただきたい.
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