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あとがき
宮崎 勝
pp.128
発行日 2014年1月20日
Published Date 2014/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407104929
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「見直される膵癌診療の新展開」として今回本特集号をお届けします.
膵癌治療は外科切除が主体の方法であることは依然違いがないものの,これまでなかなか治療成績の向上が認められなかった.しかし近年,ゲムシタビン,TS-1といった抗癌剤の登場により化学療法の効果が期待されるようになってきた.また外科切除においては,血管浸潤例に対しての門脈や肝動脈,腹腔動脈の合併切除も安全に行えるように術式が確立しつつある.そういったところでborder-line resectableといった膵癌進行度分類により,術前の化学療法あるいは化学放射線療法を導入したneoadjuvant therapyによる外科切除戦略が多く試みられ,興味深い成績が出されるようになってきている.また,非切除例と判断された局所進行のunresectable膵癌に対して,化学療法後にdown-stagingされてborder-line resectableあるいはresectable膵癌とstagingが変わり,外科切除を施行しうるような症例も増加してきた.このように様々な膵癌をとりまく,特に治療環境に大きな変化が認められてきており,今回これらの新規治療戦略について特集を企画したわけである.
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