1200字通信・87
ケモと看取り—外科医のストレス
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.35
発行日 2016年1月20日
Published Date 2016/1/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211045
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- 文献概要
最近は,癌化学療法(ケモ)の進歩により延命が得られ,QOLの改善がもたらされてきていることに疑う余地はありません.私が医者になった頃のことを思えば,雲泥の差と言っても過言ではないでしょう.しかし,一方で,こうした治療の大半を外科医が行っているというのが現実であり,執刀後,術後管理を行い,さらにケモまで担うことになった外科医の負担が増えているのが実情です.
こうした現状のなかで,ケモが効かなくなった後,「お近くの施設へ」と紹介ができる大きな施設の先生方は羨ましいことですが,当院のような地域密着型の施設では,初診時の問診に始まり,検査や手術,術後のフォローと続き,最期の看取りまで行わなければならないことになっています.大きな施設では,最期まで看ていては新規の患者さんの治療ができないという現実を理解した上での愚痴ですが,逆に最期の看取りまでできることは,医師としてやりがいがあることと考えています.
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