連載 リレーエッセイ 医療の現場から
夢の病院をつくろうPROJECT by チャイルド・ケモ・ハウス
楠木 重範
1,2
1国立病院機構大阪医療センター 小児科
2NPO法人チャイルド・ケモ・ハウス
pp.831
発行日 2010年10月1日
Published Date 2010/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1541101809
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子どもの病死の第1位は小児がんです.しかし医学の進歩に伴い,小児がんの7~8割は治癒する時代になりました.通常小児がんの治療は4~6回の化学療法を入院治療で行うので,半年以上,長ければ1年以上の入院生活が必要となります.化学療法の副作用で免疫力が低下するため,ちょっとした風邪が生命にかかわることもあります.このように小児がん治療の特徴として,免疫力の低下と長期入院が挙げられます.
また,小児がんの子どもの入院は,親の付き添いがほとんどです.子どもの心のよりどころとなるのは,間違いなく家族です.しかし病院は病人のための施設なので,付き添い家族のための寝るところや食事などは用意されていません.付き添い家族,主にお母さんは,入院ベッドの横の狭いスペースで,付き添い用の狭いベッドをレンタルまたは購入して使用しています.このように長期入院が必要な小児がんの子どもと家族にとって,病院は闘病の場でもあると同時に,生活の場でもあります.
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