1200字通信・89
看取り—死に際の彷徨
板野 聡
1
1寺田病院外科
pp.315
発行日 2016年3月20日
Published Date 2016/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211110
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- 文献概要
高齢者の増加に伴い,高齢者を収容する(不適切な表現ですが,そうとしか思えない)施設が乱立してきています.ただ,現実には,こうした施設がなければ,介護難民が巷にあふれるか,本来の急性期医療を圧迫するほどに病院内に居座ることになるか,はたまた高齢者を抱えた家庭の崩壊を招くことになりかねず,その目的の是非は別にして,現実的に必要な施設と言わなければなりません.
さて,こうした施設が近くにある病院の先生方ならご経験がおありだと思いますが,入所案内で「嘱託医がいます」「あなたの終の住処になります」といった謳い文句で募集しておきながら,ちょっとした発熱や状態の変化があると,即「病院へ」ということになり,突然に,しかも遠方のご住所の方が,職員さんに付き添われて来られることになります.診察後,点滴処置で十分と考えていると,「入院させてもらえないのですか」と職員さんが声を荒らげ,果ては点滴終了後も帰ろうとはされず,困らされることも起こっています.
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