図解!成人ヘルニア手術・7 忘れてはならない腹壁解剖と手技のポイント
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)
早川 哲史
1
Tetsushi HAYAKAWA
1
1医療法人豊田会 刈谷豊田総合病院 腹腔鏡ヘルニアセンター
pp.1514-1522
発行日 2015年12月20日
Published Date 2015/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407211026
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■ 腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術に対する重要な注意点
鼠径部ヘルニア治療の大原則は,再発がなく,術後疼痛がなく,そのほかの合併症もない術式を行うことである.腹腔鏡下鼠径部ヘルニア修復術は,手術後の疼痛が少なく,早期社会復帰が可能であるなどの利点が多数報告されている1〜3).しかしながら,日本内視鏡外科学会の2013年集計では腹腔鏡下手術の再発率は4〜5%と驚くべき数値が報告され4),再発させない確実な手術手技の習得が極めて必要と考える.特にTAPP法(transabdominal preperitoneal repair法)では,2Dの腹腔鏡画像の中で特殊な鼠径部立体構造を十分に把握し,TAPP法独特の鉗子操作の習熟が必要である.手術手技に未熟な術者における手術では,再発率や合併症率は必然的に上昇するものと思われる.本稿では,再発を起こさせない手術手技を求め,TAPP法における立体的空間認識の重要性を中心に述べる.
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