Japanese
English
臨床経験
腹腔鏡下鼠径ヘルニア修復術(TAPP法)における新しいメッシュ固定法
The novel tacking method of securing mesh in transabdominal preperitoneal inguinal hernia repair
長久 吉雄
1
,
原田 昌樹
1
,
川島 龍樹
1
,
橋田 和樹
1
,
岡部 道雄
1
,
河本 和幸
1
Y. Nagahisa
1
,
M. Harada
1
,
R. Kawashima
1
,
K. Hashida
1
,
M. Okabe
1
,
K. Kawamoto
1
1倉敷中央病院外科
キーワード:
TAPP
,
STAR
,
鼠経ヘルニア
Keyword:
TAPP
,
STAR
,
鼠経ヘルニア
pp.871-874
発行日 2018年7月1日
Published Date 2018/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_geka80_871
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腹腔鏡下鼠径ヘルニア根治術(transabdominal preperitoneal repair:TAPP)は,腹腔内からヘルニア門を直接観察してメッシュを用いて閉鎖するという理論的な術式である.鼠径部の膜解剖はいまだ一定の見解に達してはいないが,メッシュを留置すべき腹膜前腔は内外側で剝離するべき層が異なることは広く認識されている1).外側における腹膜前腔の剝離では腹膜前筋膜深葉(以下,深葉)を温存することで神経の露出を回避することが可能となる.一方でメッシュの固定に関しては,本邦においては保険適用の観点からタッカーで行われるのが一般的である.神経損傷による慢性疼痛を確実に回避するために,trapezoid of disasterでの打鋲は控えることが推奨されている2).しかし打鋲不適当と考えられているこの部位はメッシュの浮き上がり,偏位や収縮を背景に外背側からの滑り込み再発がもっとも懸念される部位でもある.われわれはtrapezoid of disasterで神経の走行を観察し,神経およびその他の脈管構造物がないことを確認したうえで大腰筋または腸骨筋に打鋲し,メッシュを全周固定する方法を採用しsecure tacking against recurrence(STAR)と呼んでいる3).今回その手技と成績について概略する.
© Nankodo Co., Ltd., 2018