FOCUS
遺体による手術手技研修の現状
七戸 俊明
1
,
平野 聡
1
Toshiaki SHICHINOHE
1
1北海道大学大学院医学研究科消化器外科学分野Ⅱ
pp.1380-1383
発行日 2015年11月20日
Published Date 2015/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210993
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はじめに
医療技術は年々高度化し複雑になっている.高度な医療を安全に提供するには,十分な解剖学的知識と手術を確実に遂行しうる技術が必要であり,手術手技向上のトレーニングが欠かせない.トレーニング方法には従来からあるon the job training(OJT)やシミュレーション,動物を用いたトレーニングなどが挙げられるが,OJT以外は一般的ではなく,新規の術式の導入や高難易度手術の実施に際して,術前に手術手技のトレーニングや手術シミュレーションを実施するかどうかは,医師個人やそれぞれの施設の判断に任されているのが現状である.
遺体(cadaver:カダバー)を用いた手術手技研修(cadaver training)は,実際の手術に則した手術手技の修練が可能であり,教育手法としての有用性が示されているが,わが国では2012(平成24)年に「臨床医学の教育及び研究における死体解剖のガイドライン」(ガイドライン)1)が公表されるまでは実施基準がなかったために,現在まで広く普及するには至っていない.本稿では,このガイドラインを紹介し,遺体による手術手技研修の現状と今後の普及に向けた課題を提示する.
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