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特集 がん放射線療法の現況と進歩
甲状腺癌の放射線療法
Radioisotope therapy of differentiated thyroid cancer
遠藤 啓吾
1
Keigo ENDO
1
1京都大学医学部核医学科
pp.1149-1156
発行日 1989年9月20日
Published Date 1989/9/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210438
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甲状腺癌の大部分を占める乳頭癌,濾胞癌は肺,骨に転移しやすい.甲状腺のヨード摂取能を利用したヨード(1)−131によるアイソトープ(RI)治療は,甲状腺癌の肺,骨転移に対する最も有効な治療法である.甲状腺全摘後,ヨード(1)−131を3.7〜5.6GBq(100〜150mCi)投与すると,転移病巣はヨード(1)−131を取り込み,ヨード(1)−131の放出するベータ(β)線による放射線作用により,甲状腺癌の肺,骨転移を特異的に治療することができる.しかし,40%の症例では肺,骨転移病巣がヨード(1)−131を取り込まないため,本法の適応とはならず,予後も不良である.
ヨード(1)−131によるR1治療は繰り返して治療できる上,重篤な副作用はほとんどない.本法は腫瘍特異的な治療法として,これからの癌治療の良いモデルと思われる.
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