トピックス
放射線被曝後の甲状腺癌
伊東 正博
1
1国立病院機構長崎医療センター臨床研究センター
pp.1485-1489
発行日 2012年12月1日
Published Date 2012/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103801
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はじめに
放射線被曝リスクは,診断目的のX線・CT被曝,癌治療,原子力発電所事故,核テロなどさまざまな機会の可能性が増加している.甲状腺は放射線感受性の高い臓器で,甲状腺癌は放射線の関与の知られる代表的固形癌の一つである.被曝の形態は内部被曝,外部被曝に分けられるが,両者が混合する場合も少なくない(図1).これまでに甲状腺被曝は医療被曝,原爆被爆,原発事故被曝,核実験などのさまざまな機会に生じ,疫学調査により放射線と発癌の因果関係は明らかにされてきた.しかし,個体レベルでは放射線傷害による特異的な遺伝子変異は依然同定されていない.2011年3月11日の東日本大震災後に引き続き発災した東京電力福島第一原子力発電所事故は,放射線被曝による不安を増長させ若年者の甲状腺発癌リスクへの関心が高まっている.
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