Update '96
放射線照射と小児甲状腺癌
三村 孝
1
1伊藤病院
pp.1067
発行日 1996年12月15日
Published Date 1996/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1414902024
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小児甲状腺癌の発生要因として,欧米では乳幼児における胸腺肥大,扁桃腺炎,頭部白癬などに対する頭頸部へのX線照射が第1に挙げられていた.わが国の小児甲状腺癌ではX線照射の既往のあるものはまれである.米国でも,1955年以降には,良性疾患に対しては放射線治療は行われなくなり,小児甲状腺癌の発生は極めて少なくなったといわれる.1986年4月のチェルノブイリ原子力発電所の事故以来,周辺地区に小児甲状腺癌が数多く発生したことが報告されている.コントロールとした地区では,小児甲状腺癌の発生が0であるのに対し,チェルノブイリから50~70kmのベラルーシュ地方では,小児1,000人あたり,2.5人の甲状腺癌が見られたという.原発事故により拡散した131I,133Iの甲状腺照射が原因と考えられている.
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