特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
膵癌手術,拡大郭清
永川 宅和
1,2
Takukazu NAGAKAWA
1,2
1金沢大学医学部第2外科
2金沢大学医療技術短大部
pp.919-921
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210073
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著者は,1973年末以降膵癌に対し手術郭清範囲を次第に拡大し,1977年にはtranslateral retroper—itoneal approach(以下,TRA)による広範囲拡大郭清膵切除術を開発して,切除率はもとより予後の向上を目指し努力してきた.この結果,ようやく5年以上生存例が7例得られ,膵頭部癌での肉眼的治癒切除の5年生存率が耐術例で36.5%となった.手術の基本方針は,1)膵周囲はもとより,腹部大動脈周囲の後腹膜郭清,2)膵頭神経叢切除,3)門脈合併切除,4)膵頭切除,ただし癌腫が膵頸部を越える場合は膵全摘術である.これらは,従来の切除症例42例の検討で,リンパ節転移率が75.0%,とくに腹部大動脈周囲のリンパ節転移率が22.0%に及び,膵頭神経叢部への浸潤が79.5%にみられたこと,門脈は同一臓器という考え方より,当初は膵癌に対し膵全摘を行ってきたが,膵頭部に限局する癌腫では膵全摘の必要がないと考えられたことによる.
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