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特集 大腸癌根治手術の再検討—ポリペクトミーから拡大郭清まで
直腸癌における拡大郭清の意義
拡大郭清と遠隔成績
Significance of extended radical dissection for rectal cancer
高橋 孝
1
,
太田 博俊
1
,
中越 享
1
,
前田 正司
1
Takashi TAKAHASHI
1
1癌研究会付属病院外科
pp.1009-1013
発行日 1980年7月20日
Published Date 1980/7/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407207473
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拡大根治術式の考え方の変遷
拡大根治術式を考えるためには定型的根治術式を考えてみなければならない.定型的根治術式における摘除組織の範囲を越えて,組織が摘除されれば,その部分だけは拡大根治手術がなされたと考えられるわけである.それならば直腸癌の定型的根治術式とはいかなる術式を言い,どのような摘除組織の範囲をもつものであろうか.
数年前までは,直腸癌の定型的根治術式と考えられていたものは,Miles術式であつた.すなわち1908年に提示されたMilesの原法に則つた摘除組織の範囲をもつものが直腸癌の定型的根治術式であつた.すなわち,それは下腸間膜動脈を左結腸動脈分枝の末梢で切離し,S状結腸とその間膜を適切な部位で切離し直腸周囲組織を剥離してくる.肛門輪を中心に会陰切開を行ない,坐骨直腸窩の脂肪組織を完全に摘除してから肛門挙筋を起始から切離して直腸を切断するものである.この術式が過去70年の間,直腸癌の定型的術式としての地位を保ちつづけて来たのは,この術式が直腸のリンパ流を認識し,その郭清の術式を包含していたからである.
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