特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
膵臓
膵頭十二指腸切除後の膵胃吻合
三村 久
1
Hisashi MIMURA
1
1岡山大学医学部第1外科
pp.922-924
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210074
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膵頭十二指腸切除術における膵の再建は一般に膵空腸吻合であるが,近年手術材料や手技の進歩改良により膵腸吻合後の縫合不全などの合併症は著しく減少したとはいえ,多くの外科医にとって膵の再建はなお困難な吻合法のひとつである.ここに述べる膵胃吻合法の特色は手技が容易簡単であること,縫合不全や出血などの合併症がほとんど皆無であることである.また術後の消化吸収も保たれる.膵胃吻合法には,膵管と胃粘膜を吻合する方法と膵断端をそのまま胃内に陥入させる方法とがある.前者では膵管のみが胃内に開口するのでより生理的であるが,膵管チューブの挿入が必要で手技がやや面倒である.長期間の膵管の開口性はこの方法の方が後者よりすぐれているという説がある.後者では膵管チューブの留置は必須ではなく,膵断面からの膵液漏出も懸念する必要がない.胃内に大きく突出した膵断端は長期間の間に漸次突出が少なくなり胃粘膜でおおわれてくる.
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