特集 —そこが知りたい—消化器外科手術のテクニックとコツ96
胃・十二指腸
膵温存・脾摘によるNo.10,No.11胃癌リンパ節郭清
丸山 圭一
1
Keiichi MARUYAMA
1
1国立がんセンター外科
pp.765-767
発行日 1988年5月30日
Published Date 1988/5/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407210021
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胃全摘が必要な胃癌では脾門リンパ節(No.10),脾動脈幹リンパ節(No.11)は2次リンパ節で,進行癌での転移頻度はそれぞれ13%,14%と,郭清が不可欠である.これらのリンパ節は膵実質のなかには存在せず,脾動脈を囲む脂肪性結合組織中に分布する.これらの完全な郭清のために膵脾合併切除が行われてきたが,膵液漏,横隔膜下膿瘍などの合併症が少なくない.また,膵尾側切除による糖尿病の発生や増悪も問題である.根治性を損なうことなく,これらの合併症を減らすために,脾と脾動脈は切除するが膵実質と脾静脈を温存する術式が工夫された(図1).本術式によるStage 3治癒切除例での5生率は58.5%と高く,膵脾合併切除の25.9%よりも良い成績であった.
膵への直接浸潤やボールマン4型では膵脾合併切除を行うべきだが,No.10,No.11の郭清だけが目的の場合には,この膵温存手術が良い適応となる.
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