Japanese
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特集 胃癌—最近の話題
脾門,脾動脈幹リンパ節郭清—膵温存,脾摘術式
Dissection technique of peripancreatic lymph nodes removing splenic artery in radical total gastrectomy
丸山 圭一
1
,
北岡 久三
1
,
平田 克治
1
,
岡林 謙蔵
1
,
菊池 史郎
1
Kei-ichi MARUYAMA
1
1国立がんセンター外科
pp.1529-1533
発行日 1984年11月20日
Published Date 1984/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407208851
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はじめに
胃癌手術の根治性を高めるためには,術式は拡大される傾向にある.一方,臓器欠損によるde—meritも指摘され,不必要な切除は避けるべきである.主占拠部位Cの進行胃癌での転移は10番(脾門リンパ節)が21.0%,11番(脾動脈幹リンパ節)が19.2%と頻度が高く(図1),全摘が行われるような高位の胃癌では郭清のうえで重要なリンパ節である.10番郭清のための脾摘が,抗腫瘍免疫の上で不利ではないかと言う考えもあるが,免疫パラメーターや生存率のうえで明らかなde—meritは証明されていない1-4).そこで,脾摘せずに10番を郭清することが困難なことを考慮すれば,根治性がある例では脾摘をすべきであろう.11番郭清に際して,われわれの提唱する膵温存手術5,6)(図1)の目的は膵尾合併切除による糖尿病の発症・増悪,これにともなう呼吸循環不全や感染症,または膵切断端からの膵液瘻などの諸合併症を回避することにあり,この手術によつて膵脾合併切除と同等の郭清ができるならば,膵温存手術が選択されるべきであろう.
本手術の根治性に関しては,(1)膵脾合併切除を行つた切除標本のlymphogramにおいて,膵実質内のリンパ節は造影されず,胃からのリンパ流は漿膜下や膵周囲の結合組織中のみを流れていることから,転移は膵実質内には生じないと考えられた.
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